この記事でわかること
① 想起練習と間隔反復で記憶定着率が2倍になる理由
② 今日から始められる時刻入り暗記ルーティン
③ 保護者が家庭でできる声かけと環境づくり
結論
① 単語は「思い出すテスト形式」で覚えると眺めるだけの3倍定着する
② 翌日・1週間後・1か月後の間隔反復で長期記憶に移行させる
③ 音読・書く・文脈で使う五感学習で記憶痕跡を強化する
なぜこの方法が効くのか
ポイント1:想起練習が記憶を強くする
人間の脳は「思い出す」という行為そのものが記憶を強化します。認知科学の研究では、英単語を繰り返し眺めるより、「隠して思い出す→答え合わせ」というテスト形式の方が記憶保持率が高いことが実証されています。 定期テストで高得点を取る生徒ほど、音読しながら覚える傾向があるのも、声に出して「自分でテストしている」状態を作っているからです。
ポイント2:忘却曲線に沿った間隔反復
記憶は時間とともに薄れていきます(忘却曲線)。しかし、忘れかけたタイミングで復習すると記憶が再強化され、次はもっと長く覚えていられるようになります。
- 覚えた翌日に1回目の復習
- 1週間後に2回目
- 1か月後に3回目
この間隔反復を繰り返すことで、短期記憶→長期記憶へとスムーズに移行します。一夜漬けで100語詰め込むより、1日20語×5日の方が定着率は圧倒的に高いのです。
ポイント3:五感を使うと記憶痕跡が増える
目で見る・声に出す・手で書く・イメージで覚える。複数の感覚を使うほど、脳内の記憶ネットワークが太くなります。文部科学省も「文脈の中で繰り返し活用する」重要性を指摘しており、実際に英文で使いながら覚えることで理解が深まります。
よくある勘違い&修正法
❌ 勘違い:ノートにひたすら書き写せば覚える
⭕ 修正:書くなら「隠して思い出しながら」書く。手を動かすだけでは受動的
❌ 勘違い:単語帳を何周も眺める
⭕ 修正:1周目は「テスト式」で。間違えた単語だけ2周目へ
❌ 勘違い:テスト前日に一気に詰め込む
⭕ 修正:分散学習(時間をあけた復習)の方が記憶効果は3倍高い
今日からできる「平日ルーティン」(時刻入り)
中学生の生活リズムに合わせた、無理のない暗記スケジュールです。
| 時刻 | タスク | 所要時間 | ねらい |
|---|---|---|---|
| 06:30 | 起床後:昨日の単語10個ミニテスト | 3分 | 寝ている間の記憶整理を確認 |
| 07:15 | 通学中:英単語アプリで音声学習 | 7分 | 耳から聞いて発音も同時チェック |
| 12:30 | 昼休み:今朝間違えた単語を再テスト | 2分 | 午前中に忘れる前に復習 |
| 18:00 | 夕食前:新出単語10個を音読×3回 | 5分 | 声に出して覚える(視覚+聴覚) |
| 18:05 | ミニテスト:隠して思い出す | 3分 | 想起練習で記憶定着 |
| 21:00 | 宿題後:今日の単語を例文で使う | 5分 | 文脈で覚える・アウトプット |
| 21:30 | 就寝前:間違えた単語だけ見直し | 3分 | 睡眠前の復習は記憶に残りやすい |
1日の合計学習時間:28分
無理なく続けられる量で、確実に定着させていきます。
テスト2週間前からの逆算プラン(表)
定期テストを想定した、計画的な単語学習スケジュールです。
| 期日 | タスク | ねらい | 完了基準 |
|---|---|---|---|
| D-14 | 範囲の単語リスト作成・既知/未知を分類 | 優先順位決定 | ABC判定表を作る(A=自信あり、C=要集中) |
| D-10 | C判定単語30個を間隔反復セット1開始 | 記憶定着開始 | 3日連続ミニテスト○×で判定 |
| D-7 | B判定単語50個をセット2に追加 | 全体カバー | 90秒セルフテスト(隠して思い出す) |
| D-5 | A判定も含め全単語で例文作成 | 文脈理解 | 1単語1例文ノート完成 |
| D-3 | 間違えた単語のみ集中復習 | 弱点補強 | 正答率90%以上 |
| D-1 | 全単語フルテスト+音読確認 | 最終チェック | スペル・意味・発音すべて○ |
英語:暗記が定着する「型」
① 間隔反復の黄金パターン
【1セット10単語の場合】
Day 1: 新出単語を音読×3回→ミニテスト
Day 2: 同じ10単語を再テスト(1回目復習)
Day 4: 同じ10単語を再テスト(2回目復習)
Day 7: 同じ10単語を再テスト(3回目復習)
Day 14: 同じ10単語を再テスト(4回目復習)
このサイクルを回すと、長期記憶に確実に移行します。
② 想起練習の実践法
❌ NG例:単語帳を見ながら「apple=りんご、apple=りんご…」と唱える
⭕ OK例は以下の通りです。
1.英単語を見て、意味を隠して思い出す
2.思い出せなければ✓マーク
3.答え合わせ後、✓マークだけもう一度
4.翌日は✓マークからスタート
③ 多面的記憶法
1つの単語を以下の角度から覚えます。
| 要素 | 覚え方 | 例(environment) |
| 意味 | 日本語訳 | 環境 |
| スペル | 手で書く | e-n-v-i-r-o-n-m-e-n-t |
| 発音 | 音読・リスニング | インヴァイロメント |
| 品詞 | 名詞/動詞など | 名詞 |
| 例文 | 実際に使う | We need an environment friendly to learning. |
| 関連語 | 派生語も | environmental (形容詞) |
④ 文脈の中で使う練習
単語を覚えたら、その日のうちに英作文で使う習慣をつけましょう。
例:「environment」を覚えた日
→「Our school environment is very clean.」という文を自分で作る
こうすることで、単語の使い方まで体に染み込みます。
保護者の方へ(声かけ&環境づくり)
お子さんの英単語学習を家庭でサポートするポイントをまとめました。
🗣 効果的な声かけ例
❌ NG:「今日は何個覚えたの?」(量だけ評価)
⭕ OK:「昨日間違えた単語、今日は言えるようになったね!」(成長を認める)
❌ NG:「テスト前なのに覚えてないじゃない」(否定)
⭕ OK:「間隔あけて復習してるから、テスト当日には完璧だね」(プロセス評価)
❌ NG:「もっと書いて覚えなさい」(方法の押し付け)
⭕ OK:「声に出して覚えてみる? お母さんが問題出そうか?」(工夫の提案)
🏠 学習環境の整え方
| 項目 | 具体策 | 効果 |
|---|---|---|
| スマホ通知 | 学習中は通知オフ or 別室に | 集中力維持 |
| タイマー活用 | 「10分タイマー」で区切る | ダラダラ防止 |
| 見える化 | 覚えた単語数をカレンダーに○ | 達成感・継続 |
| 音声環境 | 英単語アプリや音声教材の準備 | 耳からの学習を促進 |
| 復習ボックス | 間違えた単語カードを入れる箱 | 弱点の可視化 |
📋 家庭ルール例
- 就寝前30分は復習タイム(新出単語は覚えない。今日やった分の見直しだけ)
- 朝食前3分ミニテスト(保護者が英単語を出題→お子さんが答える)
- 週末に1週間分の総復習(土曜の朝15分で間違えた単語を集中チェック)
保護者の方がテスト役になることで、お子さんは「思い出す練習」を自然に積めます。完璧を求めず、「間違えたら覚え直せばOK」という雰囲気を作ってあげてください。
よくある失敗⇒置き換えアイデア
失敗パターン1:長時間ノートに書き写し作業
問題点:手を動かしているだけで、頭は使っていない
置き換え:5分間の想起テスト(隠して思い出す)×3セット
→ 15分で記憶定着率は3倍に
失敗パターン2:一夜漬けで100語詰め込み
問題点:短期記憶で終わり、翌週には半分以上忘れる
置き換え:1日20語×5日間の分散学習
→ 同じ100語でも長期記憶に残る
失敗パターン3:単語帳を何度も眺めるだけ
問題点:受動的な学習は定着しにくい
置き換え:アプリの4択テスト or 保護者との口頭クイズ
→ アウトプット型学習で記憶に刻む
失敗パターン4:スペルだけ覚えて発音を無視
問題点:リスニング・スピーキングで困る
置き換え:音読しながら覚える(視覚+聴覚+運動記憶)
→ 定期テストのリスニング問題でも有利に
まとめ:今日から始める3ステップ
- 今日の夕食前:教科書の新出単語10個を音読×3回→ミニテスト(5分)
- 明日の朝:昨日の10個を再テスト(3分)
- 1週間後:同じ10個を最終チェック(3分)
このサイクルを回せば、1か月で200語以上が確実に定着します。公立高校入試レベル約1200語も、半年あれば無理なくクリアできます。
大切なのは「思い出す練習」と「間隔をあけた復習」。この2つを習慣にすれば、英単語の暗記はもう怖くありません。
まずは15分、学習の悩みをお聞かせください。
定期テスト対策・英単語の覚え方・家庭学習の進め方など、お子さんの状況に合わせて具体策をお渡しします。
参考文献・出典
- ベネッセ教育情報サイト「英単語の効果的な覚え方」
- OECD教育研究「認知科学に基づく学習法」(想起練習・分散学習の効果実証)
- 文部科学省「中学校学習指導要領(外国語編)」語彙指導の方針
- ベネッセ「中学生の英語学習実態調査」
よくある質問(FAQ)
Q1. 中学生が1日に覚えるべき英単語の数は何個ですか?
A. 無理なく続けられるのは1日10〜20語です。重要なのは量より「間隔をあけた復習」。1日10語でも、翌日・1週間後・1か月後と復習すれば長期記憶に定着します。公立高校入試レベル約1200語も、1日10語ペースなら4〜6か月で到達可能です。焦らず継続することが最大のコツです。
Q2. 単語帳とアプリ、どちらが効果的ですか?
A. どちらも「テスト形式で思い出す」使い方なら効果的です。アプリは音声・自動復習通知機能が便利で、通学中のスキマ時間にも使えます。単語カードは自分で間違えた単語だけ抜き出して集中復習できる利点があります。お子さんのタイプに合わせて併用がおすすめです。
Q3. 覚えた単語をすぐ忘れてしまうのはなぜですか?
A. 人間の脳は忘れるようにできています(忘却曲線)。一度覚えただけでは24時間後に約70%忘れるという研究結果もあります。大切なのは忘れる前に復習すること。覚えた翌日・1週間後・1か月後に再テストすれば、記憶は長期記憶に移行し確実に定着します。一度覚えて終わりではなく、計画的な復習サイクルが鍵です。
Q4. 書いて覚えるのは効果がないのですか?
A. 書くこと自体は悪くありませんが、「ただ機械的に写すだけ」では記憶に残りにくいです。効果的なのは「隠して思い出しながら書く」方法。英単語を見ずにスペルを思い出して書き、答え合わせをする。この「想起しながら書く」プロセスが記憶を強化します。音読と組み合わせると更に効果的です。
Q5. 定期テスト2週間前から始めても間に合いますか?
A. 間に合います。ただし、詰め込み型ではなく「間隔反復」を意識してください。テスト範囲の単語を初日に分類(既知/未知)し、苦手な単語から優先的に着手。2週間あれば、1日15〜20語ペースで200語以上カバーでき、3回以上の復習サイクルも回せます。記事内の「逆算プラン表」を参考にしてください。
Q6. 保護者は家庭でどうサポートすれば良いですか?
A. ①「覚えた量」ではなく「続けた工夫」をほめる、②朝食前3分でミニテストの出題役になる、③スマホ通知オフ・タイマー設置など集中できる環境を整える。完璧を求めず、お子さんが自分で試行錯誤できる余白を残すことが大切です。間違えても「次は覚えられるね」と前向きな声かけを心がけてください。
Q7. 中1と中3で覚え方は変えるべきですか?
A. 基本の「想起練習×間隔反復」は全学年共通で有効です。ただし中1は基礎単語を丁寧に、中3は高校入試を見据えて類義語・派生語もセットで覚えると効率的。また中3は過去問の長文で実際に単語を使う練習を増やすと、読解力も同時に伸びます。学年に応じて復習サイクルの回数を調整しましょう。
Q8. 旭川・鷹栖エリアで英語指導に強い塾はありますか?
A. EIMATH学習塾では、科学的根拠に基づいた英単語暗記法を個別指導で実践しています。間隔反復スケジュールの作成、音読・想起練習のトレーニング、定期テスト対策まで一人ひとりに合わせてサポート。無料体験授業で実際の学習法をお試しいただけます。お気軽にお問い合わせください。

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